ロンドンガーデン便り

vol.5 コッツウォルズへの旅

 ロンドンの冬、あまりの寒さに驚いたぼくが教えてもらった、とっておきの防寒法についてお話します。
 1月に入るとロンドンはますます寒くなり、ガーデナーとしては厳しい季節となります。朝、一面ビニールシートで覆われた庭に行き、シートをはがす作業から1日の仕事が始まります。というのも、前日の夕方にそのシートを被せないと、翌朝深さ10cmほど土が凍りついてシャベルが入らず、霜が溶ける昼まで待つことになり、仕事にならないからです。
昼になり暖かくなるとはいえ0度前後ですので、被っているニット帽は凍り、皮の手袋の中の指先、ワークブーツ内のつま先も感覚がなくなるほどの寒さでした。
ロンドンのあまりの寒さに驚いている僕を見て、ボスのスチュワートがとっておきの寒さしのぎ法を教えてくれました。
それは厚手のくつしたの上にスーパーのビニール袋を被せ、足首で軽くしめ、その上からブーツを履くといったものです。そうすると足がポカポカして、僕はこれなしには仕事ができなくなりました。
夕方の4時には真っ暗になり、思う様に作業がはかどらないのが、ロンドンガーデンの冬の思い出です。それでも1日の仕事を終え、皆でパブのぬるいビールを飲み、ジョークを交わし、ようやく身も心も温まった僕は、「早く春が来ますように」と願い、地下鉄に乗り帰宅するのでした。